2023-12-03 10:30:00

りんごが言えない子への声かけ、実はNGでした|場面緘黙の子との関わり方

"りんご"の一言が言えない子に、つい言わせようとしていませんか?実はその声かけ、逆効果かもしれません。塾の先生から「体験に来た子にどうやって『りんご』と言わせたらいいか」という相談がありました。

「体験に来てくれた子が、一言も喋ってくれません。どうやって『りんご』と言わせたらいいでしょうか?」

詳しく話を聞くと、おうちでは普通に会話ができている様子。
ということは、場所や人によって言葉が出せなくなる「場面緘黙(ばめんかんもく)」の状態かもしれない、と感じました。

場面緘黙とは

家庭など安心できる場所では話せるのに、園や学校など特定の状況になると、声が出せなくなる状態のことです。幼児期から見られます。

発語させる声かけはNG

「これは何?」と聞いても、答えてくれない。困ってしまいますよね。

でも実は、声が出せない子にとって「言わせようとする声かけ」自体が苦痛になってしまうことがあります。

今回はカードを使った体験だったそうなので、
「りんごはどれかな?」と聞いてあげる方が、その子にとって答えやすかったかもしれません。

言葉以外のコミュニケーションを使う

「りんご」と声に出せなくても、りんごを指差すことはできたかもしれません。
指差しでも、ちゃんと【りんごはこれ!】を伝えられます。

「できない」に気づいたら、「じゃあ、どういう形ならできるだろう?」と考えてみる。
そうやって、【できた!】を一つでも増やしてあげる関わりが大切です。

先生には、「もし選べなかったとしても『これがりんごだね』とカードを見せながらお話しして、『今日はお話が聞けたね』で終わらせてあげてください」とお伝えしました。

目から鱗が落ちたような表情で、「早速やってみます」と仰っていました。

安心・安全な関わりとは

20年以上前、私自身も場面緘黙の女の子を担任したことがあります。
当時は「場面緘黙」という言葉自体があまり知られておらず、多くの先生が「緊張して喋れない子」というイメージで関わっていたように思います。

私なりに「怒らない」「スモールステップ」を意識してはいたものの、
「小さな声でいいからおはようを言ってごらん」
「口パクでもいいから言ってみようか」
というふうに、結局は"言わせよう"とする関わりが多かったように思います。

卒園式で返事ができるようになり、おはようやさようならも言えるようになりました。
結果としてはできるようになったけれど、当時の私にもっと知識があれば、彼女にとってもっと安心・安全な方法があったのではないか——今でもそう思います。

結果を急ぐ関わりをしていませんか?

支援がうまくいかないもどかしさを、つい子どものせいにしてしまったり、
「話せないと小学校で困るよ」というふうに、結果を急がせるような関わりをしていませんか?

恐怖や脅しで得られた結果は、また元に戻ってしまいます。
「治す」のではなく、「治っていく」関わりを大切にしたいですね。

おやこコーチングmamanoriaでは、保護者の方はもちろん、支援者の方からのご相談も受け付けています。